本日は寅彦先生の誕生日ですが、その寅彦先生に関する単行本(『茶わんの湯』『物理学序説』に続く第3弾!)を、今年も来月の寅彦忌に発行します。

詳細は以下になります。よろしくお願い致します。

寺田寅彦「藤の実」を読む(RGB)

寺田寅彦「藤の実」を読む

山田功・松下貢・工藤洋・川島禎子 著

2021年12月31日発行

本体2000円(定価2200円)

四六判上製/口絵12頁/132頁/ISBN 978-4-908941-31-3 C3040

(内容紹介)

ある日、寺田家の庭で起きた藤の実の一斉爆発、同じように上野の清水堂で遭遇した銀杏の一斉落葉、そして同時期に起きた娘の怪我や家族の事故…。随筆「藤の実」は、これら一連の出来事を通して、寺田寅彦が物事の偶発する「潮時」について考察をめぐらした短い作品です。本書では、この名品を物理学、植物学、文学(俳諧論)のそれぞれの立場から現代的な視点で読み直し、その本質を問い直します。

関連付録には、寅彦門下 平田森三が書いた入門記事のほか、随筆の背景がわかる同時期の寅彦作品(スケッチ入り)も数篇収録。寅彦日記や書簡から読み解いた詳しい注釈も付け、口絵では、著者の一人が実際に藤の実の射出実験をした記録写真や、寅彦の論文草稿・メモの写真なども紹介します。

「藤の実」では、流感の流行や地震の群発、山火事の多重発生、その他、事件事故の多発など、「縁起が良くない」だけでは説明のつかない様々な出来事についても寅彦流の鋭い視線が注がれます。偶然と必然の間に潜むものとは何か、本書は、物事の「潮時」に切り込んだ寺田物理学のエッセンスと寅彦の自然観に迫ります。(本随筆は「茶碗の湯」と同じく、国語教科書にも載った代表的な寅彦作品の一つでもあります。)

(本書「まえがき」より)

「寅彦のこの随筆の趣旨は、自然界や日常生活で引き続いて起きるいろいろな現象や事件が偶然なのか必然なのかという率直な疑問の提起である。」(松下貢)

(目次構成)(口絵には寺田寅彦のメモや共著論文草稿など収録)

まえがき

藤の実(吉村冬彦)/注釈(細川光洋監修)

寺田寅彦の「藤の実」を読む(山田 功)

「藤の実」によせて:偶然と必然のはざま(松下 貢)

植物生態学からみた「藤の実」(工藤 洋)

寺田寅彦「藤の実」に見る自然観(川島禎子)

付録(藤の莢の不思議な仕掛:平田森三/破片(抄):吉村冬彦/雪子の日記:寺田寅彦/鎖骨:吉村冬彦)

寺田寅彦 略年譜(川島禎子監修)