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水野敏之丞の『電子論』と他の著作

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水野敏之丞の『電子論』と他の著作

第8号では、伊藤憲二先生の人物伝シリーズの新連載「水野敏之丞と『電子論』」が始まりました。

水野敏之丞がどういった人物であるかは連載を読んでいただくこととして、この水野が著した『電子論』や他の著作を本項では簡単に案内しておきたいと思います。

水野は大正元年に『電子論』を刊行したのを皮切りに、以降次々と著書を出しています。順に挙げると、大正3年に『原子論』、大正7年に『電子ノ活動』、大正11年に『相対原律』、と約10年の間に4冊も刊行しました。

最初の著書である『電子論』の目次を見ると、以降の著作を刊行していった流れが窺えますので、以下に大まかな目次の流れを書いておきます。

序/真空放電/陰極放射線/電子/・・・/ゼーマン効果/・・・/エーテル波/輻射/・・・/ブラウン運動/・・・/原子の構造/長岡理学博士ノ原子模型/・・・/光電効果/エネルギー量子説/光量子仮説/・・・/マイケルソン及モーレイノ有名ナル実験/相対原律/・・・/電子の形状/総論

伊藤先生が連載でも書かれているように、当時の電子に関するまとまった書物の中では最初期のものであったことも、この目次の流れを見ると非常によくわかります。以前、連載した愛知敬一の著書『電子の自叙伝』が大正12年に刊行されたことを見ても、それは理解できます。そして、水野の後の著作が、この『電子論』を土台にしてつくられていったことも、それぞれの見出しを見ていくと筋立てが納得できます。

連載では、水野の片仮名書きの文章を平仮名に直して、現代風に読みやすく、伊藤先生が訳も交えて解説していただいていますが、実際の原文は下記リンクの国会図書館のデジタルコレクションで読むことができますので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。

連載で引用されているいくつかの文の醍醐味を味わえます。明治から大正にかけての物理の教科書の一つの典型を示しています。『相対原律』では一般相対論まで解説されており、重力場のテンソル表記も片仮名書きの解説を交えてしっかり記述されています。

・『電子論』(

・『原子論』(

・『電子ノ活動』(

・『相対原律』(

 

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