『窮理』では、新しい試みとして、20代以下の若い人たちを中心とした科学随筆・エッセイを掲載する企画「科学随筆U30」を始めます。
以下のような規定・概要のもと投稿を募集しますので、ご興味を持たれた方はメールアドレス(essay-contact@kyuurisha.com)までお気軽にご連絡ください。
<企画趣意>
これまで小誌では「随筆遺産発掘」と称し、細川光洋先生(静岡県立大学)の連載として、近代日本の科学(とくに物理学)を切り開いてきた先人たちの科学随筆を紹介してまいりました。その連載が第24号で区切りを迎え、次なる目標は遺産から未来へ目を向け、新たな発掘作業をしていきたいと考えております。
小誌創刊号の巻頭言において故 江沢洋先生(学習院大学名誉教授)は、寺田寅彦や中谷宇吉郎といった先人たちの科学随筆が長く読まれ、売れてきたことは喜ぶべきことであると述べる一方、これらの随筆は過去の遺産ともいうべきものであるとして次のように書かれています。
これらを今の若者たちがどれだけ読んでいるかが一つの問題である。古い科学の中にも、今の科学に引き継がれ生き続けている部分が多いのだ。日本の科学の歴史にもっと関心をもって欲しいということもある。もう一つの問題は、現役の研究者たちの声が聞こえてこないことである。さきに寺田寅彦や中谷宇吉郎の随筆集が現在も世を潤しているといったが、それらの随筆は彼らが現役のときに書いたものだ。若い人たちが書いたものを発表する場があったということである。若い読者には若い書き手の書くものがより強く訴える。この理由からも、この『窮理』には若い人たちにも書く場を与えてほしい。それは書く訓練の場でもある。
このお言葉を実行するべく、本企画に鋭意取り組んでまいります。
追記:本企画の補足案内(思想化する喜び、創作の歓喜――科学随筆と科学研究)を参考用にまとめておきました。エッセイと随筆の違い、科学研究と科学随筆の関係性など、素朴な疑問点に立ち返ってまとめてみたものです。